「最近、指が痛くて演奏に集中できない…」 「ばね指になってしまい、好きな曲を弾けない…」
腱鞘炎は音楽家の方なら経験したことがある人も多いかと思います。
腱鞘炎は、手指を酷使することで起こる炎症性の疾患です。 特に、ピアノやヴァイオリンなど、指を細かく動かす楽器を演奏する方は、発症リスクが高いと言われています。
今回は原因と対策について書いていきたいと思います。
目次
1. 腱鞘炎の基礎知識
1. 疫学:かかりやすい人は?
40代〜60代の女性に多くみられますが、近年は若い世代や男性にも増加傾向にあります。妊娠期や出産期、ホルモンバランスが変化する時期も要注意です。
2. 発症部位:どの指に多いか?
親指に最も多く、次いで中指、薬指、小指、人差し指の順に発症しやすいと言われています。しかし、音楽家の方に限ってみれば楽器の種類や演奏方法によって、発症しやすい指は異なるため一概に疫学通りではない印象です。
3. 原因:何が引き金になるのか?
手指の使いすぎ: 長時間同じ姿勢で楽器を演奏したり、同じ指ばかり使ったりすることで、腱鞘に負担がかかり炎症を起こします。
外傷: 指や手首を捻ったり、ぶつけたりすることで、腱鞘を損傷することがあります。
ホルモンバランス: 女性ホルモンの変動が、腱鞘炎の発症に関与している可能性が指摘されています。
関節の構造: 関節がゆるい人は、腱が過度に動きやすいため腱鞘へのストレスが大きく腱鞘炎になりやすい傾向があります。
4. 症状:どんな痛みが出るのか?
安静時痛: 指の付け根に痛みを感じ、特に夜間や朝方に症状が強まることがあります。
動作時痛: 指を曲げたり伸ばしたりするときに痛みを感じます。
ばね指: 指を伸ばすときに引っかかりを感じ、カクカクと動く状態になります。
2. 腱鞘炎の原因は?
主には指の使いすぎ。
特に音楽家の方にとっては、ブロック練習などを繰り返すことで特定の部位に負担が繰り返し加わるリスクは高いと感じます。しかし腱鞘炎の原因は、一つとは限らず、複数の要因が複合的に作用している場合もあります。 自分の生活習慣や演奏方法を見直すことで、原因を特定し、効果的な対策を立てることができます。
3. 診断方法
問診: いつから症状が出始めたか、どのような動作で痛むかなど、詳しくヒアリングします。
視診: 指の腫れや変形、赤みなどを観察します。
触診: 痛みのある箇所を触診し、腫れや硬結があるかを確認します。
レントゲン検査: 骨の異常や関節の変形がないかを確認します。
超音波エコー検査: 腱や腱鞘の炎症や状態を詳しく調べます。
4. 治療方法
1. 保存療法
安静: 手を休ませ、炎症を抑えます。
薬物療法: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やステロイド注射で炎症を抑えます。
物理療法: 温熱療法や超音波療法で血行を改善します。
運動療法: 指の運動で関節の動きを改善します。
2. 手術療法
保存療法で改善が見られない場合、手術療法を検討することがあります。
※当サービスでは基本的に保存療法によるリハビリレッスンを行っていますが、炎症の状態や機能面への影響等踏まえて医療機関を紹介させていただく場合もございます。
5. 音楽を続けながら、腱鞘炎とどう付き合か?
音楽家にとって、演奏を中断するのはつらいことです。 しかし、放置すると症状が悪化し、演奏活動に大きな支障をきたす可能性があります。
そこで、当サービスでは相談をしながら、演奏を続けながら治療する方法を検討します。
演奏時間の調整: 練習時間を短くしたり、休憩をこまめにとるなど、演奏時間を調整しましょう。
楽譜の選択: 簡単な曲を選び、指への負担を減らしましょう。
楽器の調整: 楽器の調整を行い、演奏しやすさを高めましょう。
サポーターの利用: サポーターを着用することで、関節の動きを制限し患部を保護しましょう。
姿勢の調整:演奏姿勢から患部への負担軽減につながるアドバイスを行います。
日頃のケア:普段の音楽活動を行うにあたってご自身で行えるケア方法をお教えします。
6. 予防策
腱鞘炎を予防するためには、日頃から以下のことに注意しましょう。
正しい姿勢: 演奏姿勢を見直し、無理のない姿勢を心がけましょう。
休憩: 定期的に休憩を取り、手を休ませましょう。
ストレッチ: 指のストレッチを習慣化しましょう。
楽器の調整: 楽器の調整を行い、演奏しやすさを高めましょう。
まとめ
腱鞘炎は、早期発見・早期治療が大切です。 症状が出たら、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
また、日頃から予防策を心掛けることで、腱鞘炎のリスクを減らすことができます。 音楽を長く続けるためにも、自分の体を大切にしていきましょう。
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