はじめに
日々楽器と向き合い、表現活動に情熱を傾けている音楽家の皆さんを本当に尊敬していますし素晴らしいと思っています。しかし、その一方で、肩や腕の痛みを感じている方も多いのではないでしょうか。真面目で頑張り過ぎてしまうが故に体が発する痛みの信号を我慢して活動を続けてしまう音楽家の方も少なくありません。腕に症状が出るものには様々な原因が考えられます。特にその中でも音楽家に発症すると考えられる主なものからセルフケアでは上手く治すことができない可能性が高いものを今回は紹介したいともいます。
①肩関節周囲炎(通称四十肩)
②腱板断裂
③胸郭出口症候群
何回かに分けて書こうかと思いますが、今回は①の肩関節症候群について詳しく解説していきたいと思います。
肩関節周囲炎は、肩の関節とその周囲の組織に炎症が起こる病気です。放っておくと、肩が動かなく(腕が上がらなく)なり、演奏活動に支障をきたす可能性もあります。しかし、正しい知識と適切な対処法を知っていれば、必ず克服できます。
この記事では、肩関節周囲炎の中でも、特に初期の段階である「炎症期」に焦点を当て、音楽家の方々に役立つ情報を提供します。炎症期の原因、症状、そして音楽家ならではの注意点について詳しく解説していきます。
目次
1.炎症期とは?
まず肩関節周囲炎は、大きく分けて3つの病期(炎症期、拘縮進行期、回復期)に分けられます。(ここでは分かりやすくするためにこの言い方で分類します。)
炎症期とは、肩の関節や周囲の組織に炎症が起こり、痛みや違和感を感じる時期です。この段階では、肩を動かすと痛みが増したり、夜間に痛くて目が覚めるなどの症状が現れます。
2.炎症期が長引く原因
炎症期が長引く原因として、以下のものが考えられます。
繰り返しの動作: 同じ姿勢や動作を長時間繰り返すことで、肩に負担がかかり、炎症が慢性化してしまうことがあります。
間違ったフォーム: 楽器の演奏姿勢や練習方法が間違っていると、肩に余計な負担をかけてしまい、炎症を悪化させる可能性があります。
身体の機能低下: 体の柔軟性低下、肩甲骨周りの筋力低下などがあると、肩の動きが制限(限局化)され、ストレスが集中し炎症を起こしやすくなります。
3.炎症期が長引くとどうなるか?
炎症期が長引くと、次の段階である「拘縮進行期」に移行するリスクが高まります。拘縮進行期になると、肩が固まってしまい、動かせる範囲が狭くなってしまいます。音楽家にとって、これは非常に深刻な問題となります。
なので個人的には音楽家の方にとって、この炎症期から拘縮進行期に移行させないことが治療において一番重要な部分だと思っています。
4.音楽家のための炎症期対策
1. 原因となる動作を見つける
まずは、自分の演奏スタイルや日常生活の中で、肩に負担をかけている動作を見つけることが大切です。
楽器の構え方: 楽器を構える姿勢を見直してみましょう。肩に力が入っていませんか?
練習方法: 同じ練習を長時間繰り返していませんか?休憩を挟んだり、ストレッチを取り入れたりして、肩の負担を減らしましょう。
日常生活: 重いものを持ち上げたり、長時間同じ姿勢で作業したりしていませんか?
2. 専門家に相談する
痛みがある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。専門医は、あなたの症状に合わせて適切な治療法を提案してくれます。
3. セルフケア
安静: 炎症が強い場合は、無理に動かさないようにしましょう。
※コンクール前などの理由でどうしても楽器の練習がやめられない場合は患部へ負担のかからない代替え案も一緒に考えます。
アイシング: 痛みがある部分にアイシングをすることで、炎症による痛みを抑える効果が期待できます。(これは夜間痛などで睡眠が妨げられるような場合に推奨)
ストレッチ: 専門家から指導を受けた上で、肩周りのストレッチを行いましょう。ただし、痛みを生じることがほとんどかと思いますので無理せず我慢できる範囲で行なってください。
5.まとめ
肩関節周囲炎の炎症期は、適切な対処を行うことで、必ず克服することができます。
原因となる動作を見つける
専門家に相談する
セルフケアを行う
これらのことを心掛けることで、演奏活動に支障をきたすことなく、快適な音楽ライフを送ることができます。
一番重要なことは「早めに相談、対処する」ことです。炎症が跳ね上がってから介入を始めても拘縮進行期への進行を止めることができない可能性があります。
少しでも違和感が早めにあればご相談ください。
artistplus公式LINEも始めたので気軽にご相談いただけます。
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