こんにちは。artistplus代表の松本です。
私たちの団体「artistplus」が、音楽家の方々に特化した施術を行うセラピスト集団として活動を行う中で、その取り組みが少しずつ世の中に知られるようになってくれたらよいなーと日々考えながらこのblogを書いています。
今回はartistplusを立ち上げたもう一つの経緯と活動を続けている中で大きな転機となったことについて書きたいと思います。
目次
・まとめ
演奏家の身体トラブルと現状
artistplusを立ち上げた経緯として、以前のblogでも書いたように自分らでやりたい事をやっているというのもありますが、音楽家の方々と関わりを持つ中で、演奏活動に伴う身体の痛みや不調を抱えている方が非常に多いことや、「こういうサービスがあったら良いのに」という声をいただく事が多くなってきたからです。ピアノやヴァイオリンなど、楽器を演奏する動作は、その特異性から身体に大きな負担をかけることがあります。特に、若い頃から長時間練習を重ねてきた音楽家の方々にとっては、その負担はより深刻なものとなります。
しかし、音楽家の方々が抱える身体の悩みは、一般的な治療法ではなかなか改善されないケースも多いというだけではなく、病院に行っても対症療法しか行われず「無理をせずに練習して下さい」「安静にして下さい」と言われ最終的に正しい治療を受けられないまま病院にも来なくなってしまう、という負の連鎖が発生してしまう方々をたくさんみてきました。
現状の日本における保険診療の壁
そもそも、現在の日本の保険診療はルールの上成り立っていますが、そのルールが音楽家にとってお世辞にも有利なものであるとはいえません。
私たちは主に病院などでは理学療法士という資格を行使する為に、医師からの指示(処方箋)が必要で、それを元にリハビリテーションを提供できます。しかし、いわゆる「腰痛症」「肩こり」「腱鞘炎」「腕の痺れ」などの症状では病院での保険診療が受けられないことがほとんどです。腕の痺れなどでは「頚椎症性神経根性」(レントゲン上骨の変形などが認められた場合につけられる)などといった診断名がつけばリハビリ対象として治療を受けられます。しかし、年齢の若い方などは骨の変形などは少なく、レントゲン上異常が認められなければ確定診断を受けられません。その結果「胸郭出口症候群」などの診断名がつけられますが、こればあくまで「症候群」という位置付けになる為、保険適応にならないケースが多くなります(国から「それはリハビリ適応じゃないですよね!」と判断されてしまうわけです)。医師が必要だ、と言って指示を出したとしてもです。そうすると治療費の7割が病院負担となる為、あえてそんな治療を続ける病院はないですよね。
これに関してはほんっとに言いたい事が山ほどあるのですがここで文章化してしまうと色々と問題になる可能性があるので察していただければと思います。笑
それについて話せる人は是非今度話しましょう!
そこで音楽家のケアに関わるには、現状自費診療で行なっていくしかないという考えに至りました。
そうして私たちは音楽家の方々の身体構造や演奏動作に関する深い知識と、それぞれの楽器に特化した施術技術を日々考え、音楽家の方々に寄り添った治療を提供したいと考え、artistplusを立ち上げるに至りました。
Instagramでの啓蒙活動から、セラピィ研究会への招待へ
artistplusの活動はまだ始まったばかりですが、Instagramを通じて、音楽家の方々に向けて身体ケアに関する情報を発信しています。私たちの活動は、少しずつですが音楽家の方々に届き、DMをいただいたりする中で、共感を得て頂けているんだなと実感しています。
そんな中、ある日、日本演奏芸術医学研究会の事務局からセラピィ研究会を立ち上げるという旨のお話と、そこでシンポジウムの講師としてお声がけをいただきました。


自分としてはシンポジウムで話すような活動をしてきたという自覚はありませんでしたし、正直戸惑いの方が大きかった気がします。ただこんな小さな活動をみてくれている人がいるんだという事に素直に喜びを感じたことは覚えています。
これから開拓されていくであろう分野で話をさせていただくには何が良いだろうかと考え、決めた発表テーマは「音楽家の身体トラブルに対する認識からみる今後の展望」でした。
私が行ったアンケート調査の結果を基に、音楽家の方々が抱える身体のトラブルの傾向、それに対してどのようなケアの方法をとるのか、上で先程述べたような現状の問題と今後の課題について話をさせていただきました。
新たな出会い
このシンポジウムでは素敵な出会いがありました。現在artistplusの一員としても活動を共にしてくれている中村綾香さんです。中村さんは私の発表に共感してくださり、シンポジウム終了後に質問をしてくれたことから色々と話をし、偶然にも活動拠点がとても近かったこともあり一緒にこの業界を盛り上げていきましょう!と活動を共にすることとなりました。
中村さんご自身も、フルート奏者として長年演奏活動を行ってきた中で、身体の不調やケアについて色々と考えてきたようです。この研究会で私たちの活動を知り、同じ思いの元、artistplusへの参加を決めてくれました。
artistplusの今後の展望(というか野望に近い)
現在活動を共にしてくれているメンバーをはじめ、多くの素晴らしいセラピストたちと出会えたこと、そして、私たちの活動が少しずつですが世の中に広がっていることを、密かに嬉しく思っています。
ここからは完全に私の独り言のようなものですが将来的にこういうことできたら良いなーと思う事を書いてみます。
・音楽家向けのセミナー開催: 身体の構造や演奏動作に関する知識、セルフケアの方法などを学ぶことができるセミナーを開催する。
・音楽家への施術をしたい方向けのセミナー(情報共有の場みたいな)をやる。
同じ志を持った方々でできたら良いな、くらいの段階。
・楽器別施術の開発: それぞれの楽器に特化した評価方法、トレーニング方法などの開発を行い、より専門性の高い治療を誰でも(最低限の線引きは必要)提供できるシステムを作る。
これは思っているよりずっと難しいと思う。一人では無理ですみなさん助けてください。
・研究活動: 音楽家の方々の身体に関するデータの収集・分析を行い、エビデンスを構築していく。
せっかく理学療法士やってるんだから臨床研究はやっていきたいですよね。
・地域との連携: 音楽教室や音楽大学など、地域にある音楽関連の団体と連携し、音楽家の方々へのサポート体制を構築していく。
これは今のメンバー体制なら一番現実的かなと思います。ただ様々な分野のいろんな方々の理解が必要。
全然身体と時間が足りません。笑
やりたい事はたくさんありますが、まずは相談に来てくれた方一人一人と向き合っていく事に全力を注いでやっていこうと思っています。
まとめ
こういう活動をしていると、自分が正しいと信じて行動していくと同じ志を持った方々は何かしら反応してくれるんだなと改めて感じます。
この業界の当たり前を変えたいという少しの野望を抱きながら活動を続けていこうかと思います。
身体の痛みや不調に悩んでいる音楽家の方も、自分も同じような活動がしてみたいけど、何から始めて良いか分からない、と言ったセラピストの方も、ぜひ一度artistplusにご連絡ください。
長文となりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
今後とも、artistplusをよろしくお願いいたします。
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